さて、いきなりですが問題です。日本の伝統的な感覚として、どちらがより「粋(いき)」だとされているでしょうか。
1、「桜が咲いたから、桜餅でも食べようかな!」
2、「春を感じるために、桜餅を食べよう!」
正解は…2なのです!(もちろん実際はいつ食べてもいいのですが。)
実は日本には「季節の先取り」をする文化があります。例えば着物の世界では、実際の季節より半月から1か月ほど先の柄や色を選ぶのが伝統とされてきました。私がそのことを知ったのは、とある漫画。桜の季節に桜柄の着物を着て笑われてしまう、という場面でした。本物の花が一番美しいからこそ、少し早い季節を装いで表すのが粋とされていたのです。
こうした先取り文化には、さまざまな理由があります。初ガツオや新茶など「初物」を大切にしてきた日本では、新しい季節をいち早く迎えることは縁起が良いとされてきました。また、日本人は四季の移ろいをとても大切にします。今の季節を楽しみつつ、次にやってくる季節を心待ちにする。その「わくわくする気持ち」が、少し早く次の季節を味わう習慣につながっているのかもしれません。
さて、桜餅の話に戻ります。桜餅は、塩漬けされた桜の葉で包まれた、淡いピンク色のお菓子です。桜の開花は3月下旬から4月上旬ですが、和菓子屋さんの店頭には2月頃から並び始めます。まだ寒い日が続く中、店先で桜餅を見かけると「春がすぐそこまで来ているんだな」と心が温かくなります。
桜餅には大きく分けて2種類あります。「長命寺(ちょうめいじ)」と「道明寺(どうみょうじ)」です。長命寺は小麦粉などの薄い生地であんこを巻いたもの、道明寺はつぶつぶした食感のもち米であんこを包んだものです。かつては関東風、関西風と言われましたが、最近ではどちらの地域でも見かけるようになりました。
塩漬けの葉の香りと、あんこの甘じょっぱい風味が魅力の桜餅。まだ風が冷たい日に、温かい緑茶と一緒に桜餅を食べて、近づいてくる春に思いを馳せてみませんか。