八百屋の歴史は平安時代の10世紀頃、生産者が野菜を売り歩く「青物売り」から始まり、江戸時代に店舗を構える業態へと進化しました。多くの商品を扱うことから「八百屋」と呼ばれ、現在はスーパーの台頭により減少する一方、オーガニックや専門店として再評価されています。

八百というのは、文字通り800という意味です。いわゆるたくさんのものにつけます。たとえば、八百万の神:やおよろずのかみは、神道における数えきれないほど無数の神々の総称で、自然界のあらゆるもの(山、川、風、石など)や人々の暮らし、歴史上の偉人、祖先の霊など、森羅万象に神が宿るという日本古来の信仰を表す言葉です。

八百屋の歴史的変遷

  • 起源(平安時代〜中世): 10世紀頃、農家が自ら生産した野菜を町で売り歩く「青物(あおもの)売り」が始まりです。
  • 江戸時代(店舗の誕生): 17世紀に入り、店を構えて野菜を販売する業態が登場しました。当初は野菜だけでなく様々な食材を扱っていましたが、18世紀頃には野菜類を専門に扱う「青物屋」として確立されました。また、都市部の市場(神田など)から仕入れる流通網もこの頃に整備されました。
  • 明治・大正時代: 都市部の発展とともに店舗数が増加し、19世紀後半には果物も扱うようになりました。大正時代には、青果小売商の権利を守るための組合組織の基礎が築かれました。
  • 戦後〜現代: 高度経済成長期にスーパーマーケットが台頭し、店舗数は減少(1976年の約6.6万軒から2014年には約1.5万軒に減少)しました。近年では、新鮮さや産地直送、地産地消のニーズを背景に、特徴的なこだわりを持つ新しいスタイルの八百屋が注目されています。

「八百屋」の語源と別名

  • 青物屋(あおものや): 野菜を「青物」と呼んでいたことに由来。
  • 八百屋: 「青物屋」が「青屋」に略され、それが「やおや」へと変化したという説が有力です。また、「多くの(八百)食材を扱う店」という意味や、江戸時代に多くのものを売っていたことに由来するという説もあります。

現代の八百屋

  • 戦後のスーパーの普及に加え、近年では農産物直売所が普及しました。一方で、地域密着型の店舗は消費者とのコミュニケーションや旬の価値を提供し続けており、技術革新による冷蔵設備の向上で、より品質の高い商品供給が可能になっています。

野菜宅配

日本の野菜宅配の歴史は、1970年代の「産直運動(産地直送運動)」から始まり、有機野菜や安全性へのニーズ、そして現代のEコマースの発展とともに進化してきました。

1. 1970年代:草創期「産直運動」の始まり

  • 背景: 高度経済成長期の農薬使用への懸念や食品公害問題への反動。
  • 特徴: 消費者が安全な食べ物を求めて、生産者と直接つながる「産直」の仕組みが誕生。
  • 先駆け: 1975年に「大地を守る会」が設立され、有機農業の普及と野菜の宅配が開始された。同時期に生協(コープ)の産直運動も活性化した。

2. 1980年代〜1990年代:セット販売の普及

  • 特徴: 「らでぃっしゅぼーや」(1988年創業)などが、旬の野菜を詰め合わせた「セット野菜」の宅配システムを確立。
  • 展開: 有機・無農薬野菜を日常的に購入できるスタイルとしてメジャーになり始めた。

3. 2000年代:インターネットの普及とEC化

  • 特徴: 「Oisix(オイシックス)」が2000年にECサイトとして創業。
  • 変革: インターネット注文の定着により、単品での購入や、細かな時間指定が可能になり、消費者本位のサービスが拡大。
  • トレンド: ヘルシー志向の強まりにより、こだわりの食材宅配が成長した。

4. 2010年代〜現在:再編とミールキットの台頭

  • ミールキット: 2013年頃から「Kit Oisix」のような、時短調理向けのミールキットが浸透。
  • 業界再編: 有機野菜の「御三家」(大地を守る会、らでぃっしゅぼーや、Oisix)が統合し、「オイシックス・ラ・大地」となった(2017-2018年)。
  • 大手参入: NTTドコモ、ローソンなどの大手企業が業界へ参入・資本提携する戦国時代へと突入した。
  • まとめ: 野菜宅配の歴史は、単なる食材の配送から、安全・安心、そして現代の利便性(ミールキット・アプリ)を追求する歴史と言えます。

もうひとつ、とても大切なのは、道端にある小さい屋台のような小屋やボックス。最近はコインロッカーを使っているところもあります。あれは、信用をベースにした「自動販売機」の簡易版で、お金をそのまま「ざる」や「貯金箱」に確かに入れて、その分だけ野菜を持って行っていい、買ったという意味、という販売形式があるんですよ。おもしろい国ですよね。