今日は奈良県を紹介します。実は何を書こうかとても悩みました。というのも、私は奈良が大好きだからです。お気に入りは隠しておきたい気持ち、わかりますか?でもやっぱり良さを知ってほしいと思い、覚悟を持って書いています。
日本では奈良県は度々、京都府と比較されます。そして「京都の方が有名」「奈良は何もない」と言われることもあります。でも私にとって、京都と奈良はまったく別の魅力を持つ場所です。京都が美術館のように洗練され計算し尽くされた美しさのある街だとしたら、奈良は、古い信仰や歴史が今の暮らしの中にそのまま息づいている場所。過去と現在が静かに、でも確かにつながっている感覚を感じることができます。
私がそれを強く感じる場所のひとつが山の辺の道です。日本最古の道のひとつとされていますが、観光用に舗装されてはいません。時には山道になり、時には民家の横の道に、そして畑の横を通る日常の道なのです。でも途中には千年以上前からの古墳や神社、お寺が存在しており、今も変わらず人々の信仰の対象なのです。アップダウンもあり少し小高くなる場所からは町並みを見下ろすこともでき、それぞれの時代の人々の目にはどんな景色が映っていたのか、思いを馳せずにはいられません。また、道の始まりにある大神神社の神様は山そのもの。古来のアニミズムを今に伝える神社のひとつです。境内に入ると、優しく包まれるような穏やかな空気を感じます。終点の石上神宮は神剣である布都御魂剣が神様で、ピリッと張り詰めたような空気を感じ、私はいつも自然と背筋が伸びます。1本の道を歩くだけで、様々な時代にタイムスリップできるのです。
どの季節もおすすめの奈良ですが、山の辺の道を歩くなら秋の終わりはいかがでしょう。路上販売で売られる旬のみかんを食べながら、いにしえの日本を感じてください。